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私が母校である多摩美術大学で授業を持ち始めて5年間が過ぎました。
初めて教えた年の学生が卒業し、社会人として接する過程までを見ることが出来た時、「ここで彼等は“子供”という時代を終える」ことを改めて思い知りました。
ある子は進学し、ある子は就職し、またある子は別の道を歩み始めます。
就職した後に、会社の一員として大学を訪ねてくる大学OBに出会う事がありますが、
既にその時点では大学側は、彼らを子供としてではなく
社会人のお客様として「〇〇社の〇〇さん」という認識で接する形に変化します。
また現代の日本に於いて、高校を卒業後直ぐに就職する道を選ぶ子供達は少なく、大学や短期大学、専門学校を経た後に就職することが普通となり、就職した後に初めて親の(金銭的な意味も含め)保護を離れ大人としての生活を始めます。
そのような「子供」としての最後の顔を
「各々にとって強く想い入れのあるモノ」と共に残したいと考えました。
その姿は、純真無垢に…とまでは言えないまでも、
社会や周りの多くの大人達に守られ育てられた証であり、
また彼等が必死にその期待に答えてきた結果だと思います。
彼等がこの先も、この笑顔のままでいられるように、
また、この笑顔よりもっと素敵な笑顔になれるよう、
いつでもこの笑顔の元に帰ってこられるように願いつつ。
2016.3.31
生産デザイン学科 非常勤講師 上野 隆文
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