民芸収集の旅 その1
干支の置物を年始の挨拶に使用したいと思いたち、まだ本格的な寒さになる前の12月初旬 、岩手県花巻市材木町にある小田島民芸所さんに連絡し、休日ながらも わざわざ訪ねて来るのであれば開けていただけるとご好意に甘え、週末にお伺いすることにしました。
小田島民芸所さんは、ご両親が始められ現在2代目である関恵子さんが継承されています。 店内には、先代が制作された干支人形や額装の切絵作品、日本全国の民芸品(売り物ではなく展示会などで頂いたもの)が 並べられ、民芸好きを楽しませてくれます。
小田島民芸所さんは、現在「黄金牛(金のべこっこ)」「忍び駒」「鹿踊り」を主に制作しており、 「忍び駒」は「忍び駒のお年玉郵便切手」(昭和41年/1966年)として絵柄のモチーフになったそうです。
「黄金牛(金のべこっこ)」は幸運と商売繁盛のマスコットとして誕生し、多くの方々に愛されています。 笑ったような口もと、白目の中心から少し外れた黒目は小田島民芸所の特徴で、 和紙の風合いを残した干支人形にもその特徴は見られ、愛くるしい表情を作り出しています。
先代が作成した24年前の干支ネズミ
「もらわれていくのは嬉しいけれど、少しさみしい身持ちになります」
目を入れた瞬間から、その人形は生きはじめるのだそうです。 ひとつひとつの人形が手作りで、和紙の繊維や目の位置がそれぞれで少しづつ違うから 機械生産では生まれない表情が生まれる。
それ以上に、作者自身がそのひとつひとつに愛情を注いでいることが小田島民芸の最大の魅力だと感じました。
寒く静かな東北だからこそ、暖かなストーブの傍らには少し微笑んだ人形が似合うのかもしれません。
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